2017年9月26日火曜日

アガサ・クリスティー「ナイルに死す」(1937)

アガサ・クリスティー「ナイルに死す」(DEATH ON THE NILE, 1937)の加島祥造訳1984年版ハヤカワ・ミステリ文庫(2001年第28刷)がそこに100円であったので買って帰った。

これ、15歳ぐらいのときに読んでいる。今になってこうして買いなおしてる。そのときもこの真鍋博イラストカバー表紙のハヤカワ文庫版だった。この表紙のほうが古典ミステリーっぽくて好き。

この本、クリスティ女史の作品としてはめずらしく457ページの大長編。しかも半分あたりまで読まないと事件が起こらないw だが、読んでいて飽きない。

英米からそれぞれの事情がある男女がナイル川遊覧観光船に集まる。そこで20歳の美貌の資産家女性が頭を打ちぬかれて死んでいる…。やがて第2、第3の殺人が。クリスティ作品としては予想外に大量の死者が!

クリスティ女史としても「ナイルに死す」は自信作。ネット上で多くの人がこの作品を最高傑作のひとつに推している。それほどの傑作で人気作。旅行記でもありラブロマンスでもある。クリスティの筆致に感心しかない。

殺人事件発生までの前段がとにかく長いのは、自分物関係が実はこうじゃね?って気づいてしまうと動機も犯人もそれほど意外でもなくなるから?
読者をミスリードするためにもこの長さが必要だったのかもしれない。長くて序盤と中盤のことは最後の頃には忘れてたw

訳のせいかもしれないけど、ポアロが好々爺紳士の印象。汗もかかずに事件を解く。
自分がこれまでに読んだクリスティ作品でのアクの強いポアロは感じなかった。ラストでのラブコメみたいな展開もただ傍らで黙って見ているポアロ。

2017年9月25日月曜日

spoon. 2014年12月号「超能力研究部の3人」

坂道関連書籍がほぼ毎週毎日のように出ていて、どれほど重篤なオタでもそのすべては把握してないに違いない。自分も一部しか見ていない。

で、先日こいつを発見した。秋元、生田、橋本の3人が主演した映画「超能力研究部の3人」が表紙&20ページの大特集を組んだカドカワから出てるspoon.2014年12月号。

こいつは見た瞬間にカゴへ。108円でゲット。「超能力研究部の3人」は写真集も出ているのだが、そちらは中古でも980円ぐらいするので自分は買えないw

この映画、山下敦弘監督による何とも言えない後味をひくヘンテコなアイドル青春ムービー。DVD化されておらず、hulu配信でしかみれないのは惜しい。もっと多くの人の目に触れていい作品だと思う。

見るといろいろモヤモヤして腹が立つ人もいるかもしれないけど。「東京都北区赤羽」とか「カンヌ映画祭」とかを見て、フェイクドキュメンタリーに慣れた人なら許容できるかと思う。
メーキングとかインタビューとか大量の特典を付けてパッケージ化して売れ!って思うけど、この映画自体がメーキングとインタビューだからなw

乃木坂一の天真爛漫優等生・生田絵梨花がインタビュー中に泣くシーンがある。実はこのシーンで山下監督は「たぶんこう言えば生田は泣く」という計算で生田さんを泣かせていた。酷い!最低w

「一番お芝居は上手いんだけど、その分つまんないよね」とか「生田さんってがんばっているんじゃなくてがまんしているんじゃないですか?」の台詞をインタビュアーに言わせて追い込んだ。
生田さんの涙はこの映画で一番のみどころ。監督も大きな手ごたえを感じた。この撮影のあと生田さんは監督に「やっぱ私ってそう見えますか?」と聴きに来たという。

その一方でどんなに追い込んでも泣かなかった秋元は監督の計算外w 
山下監督「おめぇ、なんでアイドルやってんだよ?って煽られるところで泣け、泣けって思ったんですけど、泣かないんですよ(笑)。」

秋元「ヤンキー役の女優さんたちに、本当に泣いちゃおうかと思ったくらいひどいことを言われたんですけど、女優さんはこういうところで耐えなきゃいけないんだと考えて、泣くのを耐えました」
秋元は頑張らなくていいところで頑張ってしまったw

山下「この映画を通して女優としてうまくなったらいいなと思っていたんですけど、うまくならない(笑)。それなのに突然脈絡なくすごくいい演技もしたりして、秋元さんだけ取り扱い説明書がない状態でした」

うーん、この映画、やっぱ乃木オタだけしか見てないのはもったいないわ。そろそろ地上波でかまして世間を困惑させてほしい。日テレはジブリの再放送ばっかやってんなよ。

2017年9月24日日曜日

橋本愛「古都」(2016)

川端康成原作の「古都」が松雪泰子主演で2016年に映画になっていた。
自分、この映画の宣伝をまったく見なかった。びっくりするぐらいなにも話題になってない。
主題歌が新山詩織の「糸」だったのと、橋本愛が出てることしか情報を知らなかった。

「古都」は岩下志麻版、山口百恵版があるのだが、どちらも見ていない。原作も読んだことがない。唯一見たのは上戸彩版のテレビドラマ。でも、どんな内容だったか覚えていない。

なんの予備知識もないまま見始めると、一人二役が中年女性になったその後の現代を描いているようだ。もちろん川端康成は関知してないその後世界の脚色脚本。

オープニングで京都の古い町並みと平成の現代がごちゃまぜ風景を映す。時代から取り残されたような西陣の街も多くが店じまい。周囲は虫食いコインパーキング化。
着物を着る人がいないのに、どうやって呉服店とかやっていけてるんだろう?
ヒロインの娘・橋本愛が自転車で出かけて角を曲がるとそこは京都の大通りの繁華街。急に時代が変わったかのよう。
橋本は就職活動中の女子大生。当たり前だが、女たちはみんな京ことばで話す。

女子大生の就職活動と面接の風景って、映画でもドラマでもみたくないわ。入社してやりたいことなんてあるわけないやん。採用する側が偉そうで嫌。鼻で笑う京都人面接官、人間としてサイテー。「あー、こいつダメだ」って心で思ったとしてもキレるなよ。面接に来てくれてありがとうぐらい云え!

もう一方のヒロインの娘・成海璃子は絵画を学ぶためパリ留学中だが大スランプ中。こういう映画だとかならず市場で食材買うシーンがあるなw 自分、海外行っても話せないからスーパーで買ってたわ。学生同士の芸術論会話が虫唾は走るわ。

登場人物たちが全員名優たちなので、脚本がよほどひどくなければつまらないにしても見れるものにはなるだろうと期待していた。

監督もカメラマンも海外で活動してた人らしい。どうりで視点がちょっと海外のクリエイターっぽいエキゾチックさ。自分がまだ見たことのない京都の風景を映し出してた。海外では需要がありそう。

でも自分的には、ないな~って映画。ゆったりと千年都市に暮らす人々の情緒優先薄味ドラマ。
書道先生とパリへ行く橋本愛、そして日本舞踊。「リトル・フォレスト」と同じようなクライマックス。美しい。もうすっかり大人の女性。
だが、バックで進行するコネ採用の件で母親が詫びを入れに行く現実シーンとか見苦しい。あ~、嫌だ。

そして橋本はパリの教会で成海璃子と出会う。これが「古都」のお約束。このシーンの二人が不思議すぎる表情をしてる。

2017年9月23日土曜日

海沢林道

台風一過の翌日、真夏に戻ったような暑さ。奥多摩の海沢林道の終点から徒歩で行ける三ツ釜の滝を見てきた。予想以上に悪路なのでしっかりトレッキング用のシューズが望ましい。
たぶん水量が多かった。我々が行った午前中の時間帯は滝を下るキャニオニング体験をやってる人たちがいた。
三ツ釜の滝からさらに登ったところにネジレノ滝がある。ここもキャニオニングを楽しんでる人々がいた。
前日深夜に台風が通過したばかりだというのに、意外に滝を見に来ている人が多かった。滝の周辺は水しぶきの飛沫で気持ちよく涼しい。

だが、山道が滝から離れると暑い。
同行した友人が体調が悪いと訴えたため、ネジレノ滝で引き返すことにした。
ちなみに、アメリカ村キャンプ場のある海沢林道は2013年秋テレビ朝日系で放送の「都市伝説の女2」第3話のロケ地になったことがある。
ここは海沢隧道。とても雰囲気のある良い隧道。
音無月子の警視庁非科学事件捜査班はキャンプ場・アメリカ村へたまたま居合わせ殺人事件に遭遇する。
こんな遠くまでロケ隊がやってきたんだねえ。この橋を渡ってすぐの左手にアメリカ村はある。
このキャンプ&バーベキュー場はライト層ファミリー向けアウトドア施設。わりとお高い。我々向きでない施設。
入場するだけでお金を取られるのでロケ地を確認するためだけに行く気はしない。
お金のかからない場所だけ押さえたw
ドラマではこの柵がアメリカ村へのゲートのような演出になっていたが、実際はそうではない。

橋から先の林道は舗装はされているものの、車1台がやっと通れる悪路である。運転に自信のない人は行ってはいけない。

2017年9月22日金曜日

笹子峠

台風接近中の雨の日曜日、友人の車でドライブにつきあった。旧甲州街道の笹子峠、東京側手前の最後の宿場町・駒飼という小さな集落へ。
目当てはカレーを出してる古民家カフェ。この集落の家々はすべて屋号を持っている。この家は大黒屋。
ふたりでジビエのカレーと豆のカレー、タンドリーチキンをシェア。ナンも出てきたのだが、最初に出てきたので食べてしまって写真を撮れなかった。
店内に他の客もいたので店内の写真を撮れなかった。
現在は甲州市大和町日影という行政上の地名がついている。ここから笹子峠を車で登る。
旧甲州街道の峠道は本来こんな感じ。江戸明治までこんな山道しか甲州江戸を結ぶ道はなかった。山道はところどころ自動車道と交差する。
笹子隧道。写真だとわからないが、実はかなり強い雨が降っている。
通り抜ける。クルマ1台ぶんの幅しかない。
甲州市側から大月市側へと出た。笹子隧道は昭和13年に完成している。昭和33年に新笹子トンネルが完成するまでの間、甲州と東京を結ぶ幹線道路はこれしかなかった。
つまり、昭和13年以前はもっと酷い道しかなかった。鉄道を使わずに陸路歩いて東京へ出るには山の中の峠道しかなかった。

つづら折りカーブの連続する自動車道。台風接近中ということもあって1台すらすれ違わなかったし見かけなかった。
大月市側の笹子町へと出た。遠目から見て一目で廃校だとわかる廃校があったので立ち寄った。カマボコ屋根の体育館がいい感じ。
日本中こんな廃校だらけで野ざらしの骸をさらしているのがもったいない。
昭和32年竣工の笹子川橋がいい感じ。現在では自動車は通行できず歩行者のみ通行できる。
これから耐用年数を超えた道路や橋がどうなってしまうのか?10年後が心配だ。
この橋の向こう側にある笹一酒造さんでワインとまんじゅうをお土産に買った。
さらに大月の猿橋へ立ち寄った。自分は2回目、友人は初めて。猿橋は無料で渡れるので好き。

2017年9月21日木曜日

橋本愛「バースデーカード」(2016)

橋本愛主演作なので「バースデーカード」(2016)を見る。
橋本愛が亡くなった母親を回想する話なので、開始30分以上、宮崎あおいとユースケ夫婦、子役のシーンがつづく。

諏訪が舞台。宮崎あおいは松本が舞台の映画もあったな。

これ、なんの予備知識もなく見たのだが、この母と娘のエピソードが、「ナナマルサンバツ」の前段のようなクイズオタエピソード!w 小学校でクイズ大会があるのかよ。
橋本愛の中学時代を演じてる女の子が超絶かわいい天使。調べてみたらスターダスト所属の中村ひなの(2002年9月19日生まれ)という劇団子役だ。まだ14歳だ。けやき坂に入ってほしいw
少女が17歳になると橋本愛。舞台は小豆島へ。手紙の指示に従って母の親友を訪問する。生徒会長だったこと、ピンクレディーのファンだったことを知る。タイムカプセル開封イベントでピンクレディー解散コンサートのパンフ?!w

だんだん母親を知っていく。その点「麦子さんと」みたいな映画とも云える。

幼い娘を残して死んでしまう母親から毎年誕生日に手紙が届く。そして結婚式に最後の手紙が…という、いかにも泣かせるつもり満々の設定が、あやうく鼻白むヒューマンドラマ。
だが、ヒロインが「アタック25」出演へ意欲を燃やすという謎展開が面白い!w「アタック25」の地方予選ってこんな感じなの?

橋本愛が「アタック25」に出演してるシーンが最大の見どころ!谷原とのやりとりが面白い!自分はこのシーンだけで見て良かったと言える。

2017年9月20日水曜日

KUHANA! クハナ!(2016)

「KUHANA!」は三重県桑名市を舞台にした小学生JAZZ映画。テレビドラマ脚本家である秦建日子が監督を務めた文部科学省選定の地方創生地域振興映画。

元ジャズ・ミュージシャン(風間トオル)はたまたま教員免許持ってた。廃校が決まっている小学生の課外クラブ活動でJAZZをやる。小学生たちに音楽の素養はない。そこになにも楽器はない。
しかも地元工場が本社意向で閉鎖危機。親同士がギスギスうまくいってない。

小学生たちが主人公なので子供向け映画でもある。ちびまる子ちゃんを見てる感覚。意外に展開が速い映画。

ポスターを見ると「スウィングガールズ」みたいな映画をイメージ。でもさすがに小学生でJAZZって無理があるだろうって思ってた。
満島ひかりみたいなヒロインの女の子(家業は鋳物工場)がサックスが欲しいけど高くて買えない…みたいなシーンもある。
子供に何も習い事をさせられない、数万円も用意できない家庭が見ていて哀しい。

風間トオル、多岐川裕美、須藤理彩、磯山さやかみたいな人も出てる。元フジテレビアナウンサーの山村美智が婆さん役で驚いた。グラビアアイドルだった松田純がドラム少女の母親役で驚いた。「ないわぁ…」が口癖の子がいいキャラだった。

チームしゃちほこやSKEのメンバーも出ているようだが自分には誰が誰だかわからない。
スナック店員役で馬場ふみかちゃんが出ていて驚いた。

だが、この映画を知った理由はChelsyが主題歌をやってるから。1時間4分付近で居酒屋店員としてAMI登場。ワンシーンのみの出演w
地方映画にしてはわりと良い出来。関西独特の突き放した笑いで満ちている。クライマックスがサックス壊れて音が出ないというピンチ!
だが、何も準備してない小学生たちだけでそんな展開になる?!って思った。

風間先生のフェンダーローズをネットオークションで売って沼津までの遠征費に充てようというシーンが、たかがヤフオクでこんなことが?!という騒動で面白い。

2017年9月19日火曜日

長澤まさみ「散歩する侵略者」(2017)

黒沢清監督の「散歩する侵略者」を見てきた。自分、映画を見るために劇場に足を運ぶのがだいたい1年に1回か2回なので、かなり決心して出かけた。

都心からだいぶ離れたイオンシネマで見てきた。自分、混んでる会場で映画を観たくないので、そんな場所を選ぶ。
月曜日だったので1,100円だった。8時35分からの回だったのだが、客が自分を含めて5人だった。

これ、企画とストーリーを聞いた段階で、1950年代アメリカで流行ったような、ごく普通の市民なりすまし型侵略者SFだって知った。アメリカ市民は素知らぬ顔で隣人としてふるまい既存の価値観を破壊するコミュニストやホモセクシャルを恐れていた。ロバート・A・ハインラインの「パペット・マスター」がこんなタイプの他人を乗っ取る異星人SF。

宇宙人に体を乗っ取られた恒松祐里の一家惨殺の現場で始まる。予告編でも登場する田んぼ道でダンプが横転するアレ。何かがひたひたと進行中…というサイコスリラー感はあまりしない。
恒松さんってガッキー主演「くちびるに歌を」に出てた子なんだな。どんな顔してたかぜんぜん思い出せないけど。

この作品ではアクションシーンに挑戦。警察官を襲い射殺。マシンガンを奪い躊躇なく皆殺しにするような女子高生。比類出来るのはイスラムテロリストぐらいに凶悪。ま、侵略者だからな。
夫・松田龍平の非常識行動に困惑して怒る長澤まさみのシーンが続く。乗っ取ってる宇宙人側が地球人というものをまだ何も理解していない段階なので、初めて異文明からやってきた人のように非常識極まりない天然迷惑行動。「ちょ、ちょ、ちょ!」っていうツッコミコントシーンの連続。「転んじゃった」「犬にかまれた」「…。」

予想していた以上にコント・落語っぽさ全開の面白マンガSFだった。シュールな小劇団SFコント芝居を見ているように感じた。
とくに児嶋刑事と、仕事の概念を奪われた光石社長のふざけっぷりは誰が見てもコントに見えたはず。アラレちゃんかよ!ここでだいぶくだらなさを感じてしまった。
見ている最中はずっと藤子F不二雄SF作品を読んでいるような感覚だった。遠い昔にどこかですでに読んだような感覚。

期待していたほどに新しさも新鮮さもヒネリも感じなかった。予想外な展開とは言えない。どちらかというと予想の範囲内の展開。恒松、高杉ペアの宇宙人の行動と思考は我々人類の予想を超えない。フツーにテロリスト。

クルマ移動のシーンで窓の外に映る景色の合成っぽい違和感、東出神父の愛の説法シーンで松田のバックに映る子供たちの顔のボケ方に、黒沢作品らしさを感じた。爆破シーンとか、あえてリアリティを持たせていないように思える。
俺の長澤まさみが宇宙人松田のボケに対してずっと困惑しイライラしている。予想していた以上に高カロリーで怒ってる。
まさみによれば撮影中は毎日ヘロヘロに疲れていたという。昨年夏の一番暑い時期の撮影、まさみは頑張った。

この映画、とにかく長澤まさみが美人に撮れている。過去のすべての作品と比べてもまさみが圧倒的にイイ女すぎた。
仕事で髪を後ろで縛っている姿も、外出するときの髪をほどいた姿も、部屋でエプロン姿も、パジャマ姿の後ろ姿のお尻も、クルマを運転している姿も、もうすべてのシーンで史上空前に美しい。「モテキ」「海街diary」「アイアムアヒーロー」よりもピッタリとハマっていた役だった。

あれだけ怒っていたツンデレーションまさみだったのだが、侵略が開始されると絶望を感じ疲れて諦観。
まさみが素晴らしすぎて見ている間はずっと心が沈んだ。まさみの傍らにいられない自分こそが一番の不幸。夫婦役は見ていて気が狂いそうになる。まさみを愛しすぎていてつらい。

長澤まさみは芸能界入り直後の13歳から女優をしてる。まさみ本人によれば、10代のころは常にずっとプリプリ怒ってイライラして、「もう、いやんなっちゃうな~」と、業界と演技の世界に困惑していた。
長年のまさみウォッチャーの自分は、この映画のまさみを見て、そんなことを思い出した。

この映画のインタビューでも「大手に所属してるから恵まれているって妬まれバカにされてた…」と憤ってたことを明かした。いつまでもクヨクヨ悩むタイプだというまさみは、バカにしたやつらに対してきっと今も怒ってる。
病院のパニックシーンは「アイアムアヒーロー」を思い起こさせた。けど、町にたった3人しか宇宙人がいないのに、あれだけたくさんの人の概念を奪っていたんだな。

まさみの運転する黄色いホンダ車が静岡ナンバーだったのと、ラストシーンで松田が差し出したものがみかんだったのは、まさみが静岡県人であることのアピールか?w

演説シーンでの長谷川博己の演技が印象深い。何を言っても響かない市民への諦め。安倍政権のことも表現してる?長谷川演じる雑誌記者のキャラは変化球だったかもしれない。
地球を侵略しに来た宇宙人が警官を殺した件で怒っていて、何をいまさら…って思った。だが、もう人類滅んでもよくね?と宇宙人側に就いているようにも見える。

厚労省の役人?だという笹野さんを見て、こんな年寄りは大臣クラスでないといないのでは?と思った。でも、マシンガンをぶっぱなすような対テロ特殊部隊を率いてるので、普通の人事じゃないんだろう。部下たちが中国マフィアのチンピラっぽかったw

C級コント芝居SF映画っぽかったけど、十分に面白かった。まさみの演技は称賛に値する。まさみの過去作の中で自分は一番感心した。
だが、こんなヘンテコ映画では映画賞レースとは無縁だろうな。

2017年9月18日月曜日

エラリー・クイーン「エジプト十字架の謎」(1932)

エラリー・クイーンの国名シリーズ、2冊目は「エジプト十字架の秘密」を読む。
こいつは井上勇訳の創元推理文庫1959年版の1990年の第59刷。100円でゲット。

首を切断されT字の十字架に磔にされた死体が発見されるという、エラリーにしては猟奇すぎる展開。

エラリーってクリスティに比べると無駄な部分が多すぎるような気がする。2つ目の首なし磔死体が発見されたロングアイランドの事件の描写が長すぎて飽きたw 470ページの大長編。

パイプの件やチェッカーゲームの件、第4の殺人事件現場での薬瓶の件でエラリーらしいキッチリした論理的絞り込みとかあるけど、全体としては古典的推理小説というより「羊たちの沈黙」みたいなサイコスリラーだった。映像を想像しながら読むと怖い。

犯人はモンテネグロ人ヴェリャ・クロサックであることがわかってるのだが、そのクロサックの正体が一体誰なのか?が争点。
終盤になるとアメリカ東部4州にまたがる大捕り物的展開でハラハラさせる。

最後に犯人の正体がわかる。犯人は男だというから、絞り込んで想像していたけれど、まったく予想外すぎた。
だが、だからなんだ?とも思った。真の動機が今一つとってつけたようで納得しがたい。

「エジプト十字架の謎」はエラリーの作品でも上位に来る人気作らしいけど、自分は「オランダ靴」のほうが良いと感じた。

2017年9月17日日曜日

川口春奈「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件」(2013)

川口春奈ってめちゃくちゃカワイイと思うけど、出演したテレビドラマを1本たりとも見ていない。GTOを除いて。でもあれは本田翼が目当てだった。すまん…。

で、2013年1月に日テレ開局60年を記念して放送されたスペシャル版の「金田一少年の事件簿 香港九龍財宝殺人事件」を4年半の時を超えて、ようやく見た。川口春奈めあてでw

ぶっちゃけ自分は「金田一少年」がぜんぜん好きじゃない。かろうじて堂本&ともさか版を少しだけ見たことがある。それ以来見た。あんまり集中しないで。

高校生たちが主人公のミステリー。しかも香港が舞台。やっぱりリアルを感じない。
たぶんアジア各国のスターたちが出演している。自分、そのへんにまったく関心がないのでわからない。ボーイのバイトをしていた人は一目で韓国人だってわかったw

パーティー会場で銃を持った男が出現。香港警察がショットガン持って取り囲む。「俺は台湾の刑事だ!」
チラシみたいな紙一枚見せただけで香港警察が「ハッ」とそのまま指揮下に入るw ふつう「なんだテメー」ってなるんじゃないか?管轄は香港警察だろう。
九龍城からスーツケース型核爆弾?!スケールデカすぎ。

登場人物たちがカタコトの日本語で会話する。日本人からするとすっごく下手な芝居を見せられてるようで「…」ってなる。
川口春奈はなんと香港人モデルと一人二役。失踪したモデルの代役でショーに出演するために香港へやってきた金田一くん一同。そういえば昔の金田一少年映画で香港が舞台になってたのがあったな。

道端で突然ババアから水をぶっかけられて、見るからに怪しい堀部圭亮みたいな男に店に誘い込まれ試着室から失踪、誘拐、血まみれで発見…。やだ、香港、怖い。
そして犯人を追跡するはじめくん。このアクションシーンが見どころだが、こういうのを見て楽しいのはジャニーズファンの13歳以下の子供たちぐらいだろう。なんか、ノリとセンスが戦隊ヒーローもののそれ。

「犯人はオマエだ!」、ええぇぇ~?!犯人が意外過ぎてびっくらこいた。クリスティの「アクロイド殺し」並みに驚いた。
だが、金田一少年特有の「そうよ。私がやったのよ」以降は見る気が失せる。これが日本の2時間ドラマだ!感がする。ウェットすぎる。

それぞれの犯行トリックはそれなりだが、あのハンガーのシーンは思わず「バカミス!」と叫びそうになったわ。本当に犯行が可能であることを見せるためには、CGじゃなくて実際に「それ」を作ってみせてほしいw

見てよかったか?ぶっちゃけ大人が見るにはキツイw だが、川口春奈を鑑賞するならアリ。
現在22歳になってる川口春奈が美人でつらい。ちょっと天然なところがあって面白い。これも恋だと思う。男って一体いつまでカワイイ女の子の脚にひれ伏し跪いてないといけないんだろう。

2017年9月16日土曜日

ガールズ&パンツァー 劇場版(2015)

なんで見たのか自分でもわからないのだが、ガールズ&パンツァー 劇場版(2015)を見てしまった。
何も予備知識がなさ過ぎてどう見ていいのかわからない。物語のルールがわからない。

戦車道なる競技?遊び?部活動?を少女たちだけがやっている。どっかんどっかんと砲弾を打ち合っているのだが、生命と身体の危険は皆無らしい。

都市インフラが破壊されまくっている。だが、人々は安全などこかで「試合」を見守ってる。とてつもない資源の浪費。
燃料はどこで補給してる?砲弾や修理費などは?まったく意味がわからない。

大洗のまちで、遊園地の廃墟で戦車戦をやってる映像は実写では不可能だと感じた。見たことのない映像過ぎて新鮮だったし、アイデアに満ち溢れている。そこに新しい興奮があった。CGアニメはすごい。戦車ってこんなに速く動けるのか。

日本のアニメならではの独特のテンションと間合いのアニメ声優芝居が続く。自分は各キャラが最後まで誰が誰だかわからなかった。
実写ではクオリティの高い美少女女優を5人そろえるのは難しい。アニメならいくらでもなんとかなる。一体何人登場人物がいるんだ?

英国人、ドイツ人、ソ連人、イタリア人、フィンランド人もいるの?それっぽいステロタイプ会話をしてる。優雅に紅茶を飲む英国人女子高生なんて、本当にいるのか?

こんなわけのわからないものを生み出した日本はすごい。

戦車を操縦するという男子の欲望を、アニメで実現した映像作品ように感じた。
自分は戦車や兵器のことは何もわからないが、50年前のカメラで写真とって喜んでる自分にはなんとなく、このアニメの楽しみ方の重点はわかった。

自分、カチューシャというソ連の歌が好きw 近年この曲をよく耳にしたのは、このアニメの影響だったのか。ロシア語が聞こえると、ただの草原がノモンハンや占守島に見える。
あと、見覚えのある小学校が出てきた。昨年秋に行った大子町の旧上大岡小学校だ。

2017年9月15日金曜日

エラリー・クイーン「オランダ靴の秘密」(1931)

エラリー・クイーン「オランダ靴の秘密」(THE DUTCH SHOE MYSTERY, by Ellery Queen 1931)の角川文庫版を手に入れた。
越前敏弥&国弘喜美代 訳による2013年角川文庫版の初版。

定価は781円だが、いつものようにBOで古本として購入。460円の値札が付いていたのだが、たまたまその店に入ると文庫本200円均一セールだった。おぉ、ラッキーと思ったけど、200円で買いたい本はこれ1冊しかなかった。

今現在、街の本屋さんでエラリー・クイーンの文庫を買おうとすると、たいていこのイラスト表紙の角川文庫版っぽい。エラリーくんが若くてイケメン。たぶんこういうイラスト表紙のほうが売れるんだろうな。だが、手前にいる男の子は誰だ?

ジューナと呼ばれる少年小間使いらしい。前2作にも登場してるらしい。自分、国名シリーズを初めて読むので知らなかった。巻末解説によれば「訳者のプッシュもあって表紙に抜擢」とのこと。

443ページの長編作なのだが2日で読んだ。さすが最新の訳は読みやすいw それに、面白かった!ページがサクサクめくれる。

ニューヨークのオランダ記念病院の手術室で、病院の創設者である大富豪の老婆が絞殺された事件。容疑者の外科部長も同じ方法で殺害される連続殺人事件。
超有能探偵エラリーくんがキッチリカッチリ論理で「こいつしかいない」と意外な犯人を指名する。

「オランダ靴」はエラリーの国名シリーズでもかなり高評価の作品。真犯人は十分に意外性があるし、「読者への挑戦状」として最もフェアな1冊らしい。

ぶっちゃけると、1930年ごろのニューヨークの大病院のイメージがあんまりできない。あと、事件の重要な物的証拠である靴と靴紐がよくイメージできない。え、靴紐が切れる?どんな履き方したんだ?
それに、「切れた靴紐を医療用テープで修理」ってのもよくイメージできずに困った。そもそも手術着のズック靴に靴紐って必要?

それ以外は十分に古典ミステリーの傑作であることが納得できた。今のところ自分的に「Yの悲劇」と並ぶ傑作。