2017年12月12日火曜日

コリン・デクスター「ジェリコ街の女」(1981)

コリン・デクスター(1930-2017)の本を探していたのだが、やっとこれを見つけた。「ジェリコ街の女」(1981)大庭忠男訳の1993年版ハヤカワ・ミステリ文庫の2001年第6刷。100円でゲット。
THE DEAD OF JERICHO by Colin Dexter 1981
初めて読む作家なので自分と合うか不安だったのでこれ1冊だけ買ってきた。表紙に英国推理作家協会賞受賞と書いてあるから、ある程度支持された本に違いない。

この本の主人公はモース警部。テレビドラマ化もされ日本でも名前の知られたキャラ。
知性と教養のある50歳。頭髪は薄く腹も出た気分屋で高慢で尊大。上司にしたくないタイプ。それでいて好色でやたらとパブで酒飲んでる。

英国の警察官ってこんなにもちょいちょい酒飲むのか?ちょっとハードボイルド。女性読者にはモースにセクシーさを感じる人もいるらしいが、どこが?って思う。

パーティー席上でちょっとだけ会話をした若く魅力的なドイツ語教師の女性が数か月後に自宅で自殺。え!自殺したの?とモース警部が自分の仕事でもないのに勝手に単独捜査に乗り出す。(他の仕事は?!)
多くの登場人物たちの視点で断片的シーンが描かれる。つながりはそれほどよくわからない。外国サスペンス映画を見ている感覚。

サッチャー時代の英国オックスフォードの街が舞台。今はストビューがあるからどんな街かは興味があれば調べられる。ま、自分はしなかったですけど。表紙イラストからなんとなくジェリコ街の家々をイメージ。

5分の4ほど読んだところで女性が自殺した理由をモースが推定。この自殺した動機の悲劇性が重くてミステリーとしてすばらしい。多少はギリシャ悲劇に通じてるとさらにイメージしやすい。だがこれは真相じゃなかった?ネタバレになるのであまり詳しく書けない。

そして女性教師の隣近所に住む老人が自宅で撲殺。出版社経営者が容疑者として浮上するが鉄壁のアリバイ。なにしろモース警部自身が容疑者の公演を聴いていた時間に事件発生。
だが、こちらのトリックはそれほど驚きはない。てか、そんなこと?って肩透かし。

犯人捜しの本格ミステリというより、重厚な刑事ドラマ。わりと自分に合っていた。それほど多作な作家でないようなので今後も探して読んでいきたい。

調べてみたらコリン・デクスターは今年の3月に亡くなっていた。この本を読むことで追悼。

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