2018年3月15日木曜日

アーサー・C・クラーク「海底牧場」(1957)

アーサー・C・クラーク「海底牧場」ハヤカワ文庫(2006)を手に入れた。高橋泰邦訳1977年ハヤカワSF文庫を底本とする2006年新装版の初版。
クラークの作品はなかなかBOで見かけない。100円だったので即買い。
THE DEEP RANGE by Arthur C. Clarke 1957
「海底牧場」と「ディープ・レンジ」では印象がだいぶ違うな。

戦争も国境紛争もなくなった遠い未来、世界連邦食料機構の牧鯨局は太平洋で鯨を放牧している。海中の音を発する電気柵で、プランクトンを食べて育った鯨を誘導。最終的に食肉として自動的に解体される。
このアイデア、今では世界で捕鯨国を恫喝するIWCからすると考えられない。「宇宙エレベーター」並みに何も実現化に進んでない。

第1部「訓練生時代」では事故でトラウマを負った元宇宙飛行士の主人公フランクリンの南太平洋ヘロン島での訓練の日々が描かれる。潜水と海を愛したクラークらしい目線でグレートバリアリーフと海底を描く。主人公の再出発と恋、そして自殺未遂。職業がテーマの作品か?

第2部「監視員時代」小型潜水艇を操り鯨を誘導するのが仕事。ときに巨大イカを捕まえたり、巨大ウミヘビを捜索。やがて、海底地震で長年の先輩で訓練生時代の教官を失う。

第3部「官僚時代」牧鯨局トップに出世した主人公は、仏教の聖人から鯨を殺して食べることをたしなめられる。遠い未来、キリスト教もイスラム教も廃れたが仏教だけは生き残っている(?!)
海中のプランクトンから人類が必要とする動物性たんぱく質の合成と確保に採算がとれるのか?官僚として生きる日々が描かれる。
そして、海底での潜水艦事故…。

これ、クラークの海洋SFの傑作という扱いらしい。人によっては面白いらしいけど、自分は読んでいていろいろと困惑した。想像力が乏しかったせいかもしれない。たぶん職業選択もテーマ。

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